その他

  • “オイルステイン オールナット”を塗り、3日後に“速乾二ス”を塗ると色が動いた。
    厚塗りをしたのが原因か。

    厚塗りによって、乾燥が遅れたこともありますが、“オイルステイン”は乾燥しても、上塗りをしたときにニスの中に含まれる溶剤によって色がにじむことがあります。

    今回のケースでは、“速乾ニス”の溶剤が“オイルステイン”を溶かし、色にじみを起こしたものと思われます。
    色にじみを抑える方法として、“オイルステイン”の上から“ネオラックニス”を塗り、乾いた後で上塗りのニスを塗るとよいでしょう。

  • ヒバの白木に電動サンダーで、木地調整をし、さらにサンドペーパーもあてたが、“オイルステイン チークを塗るとキズ(サンダーをかけた痕)が目立ってしまった。

    電動サンダーの場合、研磨する力が強く、傷になりやすいので、サンドペーパーの番号を細かめにする必要があります。
    また、電動サンダーは円を描くように動くものが多いため、塗装前に木目にそって手研磨し直すことをお勧めします。

    “オイルステイン”は、木への浸透性が良いため、なおさら、傷が目立ちやすくなるので注意が必要です。

  • 籐の塗装には、どんなニスを使用したらよいか?

    籐は竹と異なり、油分は含まれていないので、基本的には、油性系、水性系ニスのどちらでも塗ることが出来ますが、その用途によって、使用する塗料が決められます。

    1. 装飾品など塗膜の強度を必要としないもの
      • 未塗装の籐素材に塗る場合
        木地研磨(サンドペーパー#320くらい)をすれば、油性系、水性系ニスのどちらでもよい
      • 補修など、塗り替えの場合
        大半の籐製品はラッカー系、油性系塗料で塗装してあるものが多いので、サンドペーパー(#320くらい)をかけて、油性ニス系で塗装する
    2. テーブル、椅子など、塗膜の強度を要求されるもの
      未塗装の籐素材に塗る場合、補修など塗り替えの場合どちらでも、油性系ニスをお薦めします。
      籐は、塗装面が全て∩面なので、塗膜の光沢、表面のなめらかさなど、仕上がり感の違いは、塗料によって明確に判ります。
      総合的に考えれば、“籐工芸ニス”、“油性ニス”をお勧めします。
  • ラワン材でパソコン台を作り“ウッドオイル エボニー”を塗った。1週間経っても乾かず臭いもする。どうしてか。

    “ウッドオイル”は、通常、約12時間/20℃で硬化しますが、1週間経過しても乾かないのは異常です。
    考えられる要因は、塗り重ねする時間のタイミングと思われます。

    “ウッドオイル”は、木部の導管に浸透して、酸化重合により、中でプラスチック化して硬化し、木材内部から固める性質の油ですので、下塗りが硬化しないうちに上塗りしていくと、内部が柔らかい状態で、塗膜全体がなかなか硬化しない状況になります。
    全体的に厚塗りした状態と同じになり、酸化重合が進みにくい状態になるからです。
    充分乾燥してから、次の塗装にかかりましょう。

    浸透して、プラスチック化する
  • “ウッドオイル”を塗っているが、まったく艶が出ない。少し艶がほしいがどうしたらよいか。
    この上からニスが塗れるか。

    “ウッドオイル”は、木部に浸透し、オイル独特のしっとりした仕上げになるのが特長ですので、ニスのような艶のある仕上げにはなりません。
    艶を出したい場合は“油性ニス 透明クリヤー”を上塗りできますが、“ウッドオイル”は乾燥に時間がかかるため、最低1ヶ月以上乾燥させてください。
    (乾燥不足の状態で上塗りすると、ニスが乾かなくなったり、密着不良を起こしたりする場合があります)

    上塗りする場合は、ニスを塗る直前にサンドペーパー(#400)をかけてから塗ってください。

  • 楓の楽器に“ラッカーサンディグシーラー”を塗り、“クリヤーラッカー”で仕上げている。
    きれいに仕上がるが、打ちつけると白くなり剥がれてしまう。“ネオラックニス”を塗り、上記の方法で塗装すると密着がよくなるか。

    “ラッカークリヤー”、“ラッカーサンディングシーラー”のようなラッカー系塗料は、樹脂の主成分が“硝化綿樹脂”で構成されています。
    “硝化綿樹脂”は繊維質の樹脂で、乾燥性に優れていますが、衝撃性・耐熱性に劣ります。
    特に塗装後、釘打ち、打撃による打痕には注意が必要です。

    上塗り塗料の強度の問題なので、残念ながら下塗りに“ネオラックニス”を塗っても改善は見込めません。

  • 塗装してあるベニヤ板をサンドペーパーで白木の状態にした。
    黄色のとの粉で、目止めをし、“クリヤーラッカー”を塗ったら茶色(べっ甲色)になった。どうしてか。

    黄色との粉は、濡れ色になると色が黄味を帯びたクリーム色になります。
    さらに上塗りした“クリヤーラッカー”がとの粉に滲み込むと、ラッカー樹脂の色(淡黄色)が重なり、茶色っぽい色に仕上がります。

    一度研磨して木地まで戻し、使用するとの粉の色を白に変えると、ある程度軽減されます。

  • 米マツの合板に“ポアーステイン”で着色した。
    “ラッカーサンディングシーラー”を“ラッカーうすめ液”で20%をうすめてスプレーガンで4回塗り、乾かしてからランダムサンダー(320番)で研磨をしたら“ポアーステイン”まで取れてしまった。

    着色剤で着色をし、ニスやサンディングシーラーなどを上塗りした時、研磨はできるだけ手研磨で行なってください。
    塗膜が厚く付いているようでも、サンダーで研磨すると、力が強いので、塗膜が大きく削れてしまい、木地まで磨ぎ出してしまうことになるので注意が必要です。

  • 竹に塗料を塗りたいが、どんな塗料がよいか教えてほしい。

    竹の中に含まれる成分に竹特有の油分があり、塗装を妨げる要因になっています。
    殊に、新しい青竹の場合はこの油分が強く、また竹に含まれる天然成分が防腐・防カビ・防虫機能を有して竹を保護する役目をしていますが、これらの成分の影響で塗料と竹の密着を阻害しています。

    古くなって変色した竹は、新しい青竹に比べるとこれらの成分が多少弱くなり塗料も付着しやすくはなりますが、完全でありません。
    塗装した竹を屋内に使用する場合は、素材をサンドペーパー(#400)で研磨して、“油性ニス”を2~3回塗り、皮膜を厚めに仕上げると剥がれにくくなります。

    塗装の阻害要因となる成分を取り除くには、竹の素材を煮沸し、成分を追い出す必要があります。

  • 浮き、釣り竿に塗りたいが、どんな塗料がよいか。

    耐水性、塩水性に優れた塗料であることが必要です。
    透明性塗料では、2液性ウレタン樹脂塗料“2ウレタン”、色物塗料では、油性の“工芸うるし”が適しています。

    耐水性などの強度は、膜厚に比例して強くなるので、最低3~4回塗り(乾いては塗り、乾いては塗り)が必要です。
    特に“2ウレタン”は、下塗り液と上塗り液の併用が必要条件です。

  • ニスのラベルに2回塗りとあるので2回塗ったが、容器にある色シールまた店頭にあった塗り板見本のようにならない。
    塗り板見本のように仕上げるのには、どうしたらなるのか。

    店頭にある塗り板見本は、基本的にヒノキ材またはシナ材に3回塗りで仕上げてあります。
    また、日本中のホームセンターへ色見本を届けているため、効率よく塗装するためにハケ塗りではなくガン吹きで塗装しています。
    ハケ塗りで同程度の色に仕上げる場合には、3~5回の塗り重ねが必要になります。

    ハケ塗りする場合、塗り手それぞれの癖があるため、同じ塗料を同じ回数塗装しても全ての人が同じ色に仕上がることはありません。
    うすく塗る癖がある方は色の付き方もうすくなる傾向があり、厚く塗る癖がある方は色が濃くなる傾向があります。

    いずれの場合も、の濃さは塗り重ねるごとに濃くなっていきますので、好みに色になるまで塗り重ねてください。

    色の問題ではなく、表面がきれいに仕上がらない場合は、素材による仕上がりの違いが考えられます。
    木の導管の大小・硬さ・質量により塗料の吸い込み具合が違うことも、仕上がりの違いの大きな要因になります。
    下記の資料を参考に、塗装工程を見直してみてください。

    未塗装木部へのニスの塗り方   との粉を使った目止め処理の手順

  • ニスを塗って仕上げたが、もっとつやを出したいので、ワックスをこの上から塗ってもいいか。

    基本的には、ニスの上からワックスを塗ることは差し支えありませんが、ワックスの種類にもよります。

    ワックスには、ロウ系ワックスとシリコン系ワックスがあります。
    ロウ系ワックスは、塗っても構いませんが、ニス以上の光沢が得られるかどうかということになると疑問があります。
    シリコン系ワックスは、光沢は出ますが、シリコン成分がニスの皮膜を通過し、素材に浸透してしまうため、いずれ、ニスの皮膜全体にシリコンが行きわたり、ニスの再塗装が出来なくなってしまい、厄介なことになります。

    いずれにしても、ワックスには、ニスのような表面保護機能はありません。
    埃を呼びやすく、手入れを定期的に行う必要があることを知っておきましょう。

  • DIYで家具を製作していて、“油性ニス”や“水性ニス(着色ニス)”を使用している。

    木材の平面は良いが、断面では、塗料が多くしみ込み、色が濃くなり年輪のムラが目立つ。
    との粉などで下地処理が必要か。

    木材とベニヤ板を併用した家具では、それぞれ色が変わってしまう。
    よい対策はないか。

    一般的には、家具の場合、機能的な強さ(磨耗性、耐水性、耐熱性など)考慮すると、“水性ニス”より“油性ニス”や“水性ウレタンニス”での塗装をお勧めします。

     

    木口面の塗装について

    断面(木口)部分は、木の導管(水や養分を吸い上げていた管)の断面になるため、塗料の吸い込みが激しい傾向があります。
    このため、色つきのニスを塗ると極端に色が濃くなり、年輪の硬い部分と導管部分の色の濃淡ムラが明確に出てしまいます。

    この現象をやわらげる方法としては、下記の3つがあります。

    • との粉で目止めをする
      吸い込みは止まりますが、色が完全に均一になるため木材らしさが損なわれる場合があります。
      また、余分なとの粉が残ったままに巣を上塗りすると、未着不良を起こします。
      参考資料:との粉の使い道について
       
    • 淡い色のニスを作って塗る
      同製品の透明クリヤーと色物を混ぜることで、賄色調のニスを作ることができます。
      色つきニスの場合、1回目の塗装が木に浸透して最も色づく工程のため、木口部分を塗装する際に濃さを調整したニスを塗っておくと、吸い込みによる色づきを抑えることができます。
      色の濃さを揃えようとして塗る回数が木口と他の部分で変わった場合、塗膜の厚みにも差が出てしまいます。
       
    • 着色剤とニスを併用する
      ポアーステインのような水性着色剤は、水性系・油性系どちらも上塗りができ、希釈は水で行うことができます。
      また、ニスと違って塗り重ねても塗膜がつかないため、厚みの差ができることもありません。
      全体の色づけが終わってから、透明のニスで上塗りすることで、全体の色を揃えやすくなります。

     

    材質の違いによる色の差について

    木材の種類とベニヤ板の表面の状態、色が異なるため、同じに仕上げることは困難です。
    木材とベニヤ板への色の浸透具合の差、素材表面の色の差は如何ともし難く、着色剤を使って、濃淡に注意しながらどちらかの素材に色を近づけることが必要です。