ステイン(着色剤)の塗装手順
用意しておく物
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使用する塗料
作品の使用目的や、好みに合った塗料を選んでください
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塗装用具
ニスハケをお勧めします。塗り方(P.3参照)によってはウエスも必要です
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塗料に適したうすめ液
塗料容器に適したうすめ液が記載されています。塗装用具を洗うときにも使用します
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研磨道具
240番のサンドペーパーが必要です。空研ぎサンドペーパーを推奨します
古い塗料を研磨で剥がす場合は、粗い番手のサンドペーパーもご用意ください
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ウエス
いらなくなった綿布で代用できます。タオル地は埃が出やすいので避けてください
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マスキングテープ
塗りたくない場所を保護するために使います
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新聞紙やビニールシート
周辺の汚れ防止に使います
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ゴーグル、マスク、軍手やビニール手袋など
塗料の飛び散りによる汚れ防止に使います
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汚れてもよい服装
衣類に塗料がつくと、きれいに落とせません
塗装を避けた方がいい環境
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雨天や、湿度の高い曇天、極端に気温が低い日
塗料が乾きにくくなります
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上塗りするニスの塗装手順につきましては、別資料をご参照ください
(別資料の工程2から開始してください。ステイン塗装は木の吸い込みが止まらないため、未塗装の手順とほぼ同等の工程になります)
ステインの特長
膜を作って木の表面を保護することができるニスと違って、ステイン(着色剤)は木に染み込むことで色をつける塗料です
このため、ステインを使う際には木に塗料が染み込む余地があることが絶対条件となります
また、ステインは木を保護する力は持っていません
屋内に飾っておくだけの作品であればステインだけを塗って仕上げても問題ありませんが、実用する作品(家具や建具など)の場合は、ステインを塗っただけでは触れた布に色が移ったり、水拭きをすると色が落ちたりすることがあるため、上からニスを塗って保護する必要があります
ぱっと見は難しい工程に見えますが、ワイピング(後述)することでハケ目による色ムラを抑えられる、色の淡い部分だけを後から塗り足して色を調整できる、濃い色に着色しても木目が鮮やかに見えるなどの理由から、大きな作品(テーブルや棚など)をきれいに色づけしたい場合は、色つきのニスを使うよりステインで色をつけてから透明やつや消しのニスで仕上げることをお勧めします
和信ペイントにはステインが3種類あり、水性の“ポアーステイン”と“水性オイルステイン”、油性の“オイルステイン”に分かれます
水性のステインはどのニスでも上塗りできますが、油性の“オイルステイン”に水性のニスを上塗りすることはできません
上塗りに使うニスとの相性を考えて、ステインを選んでください
なお、ウッドデッキなどに使用できる屋外用のステインは“木材保護塗料”という別ジャンルの商品です
木材保護塗料はニスで上塗りする必要がありませんが、表面硬度は得られないため、木材の硬さのままになります
テーブルやカウンターなど、表面に硬さが必要な作品には、ニス仕上げをお勧めします
ステイン(着色剤)の塗装手順
1.素地調整
未塗装木部の場合は、240番の空研ぎサンドペーパーを使って、木目に沿って研磨します
カンナをかけてある木材は表面がきれいに見えますが、塗料が染み込みにくい状態になっているので、しっかり研磨してください
古い塗料を剥がす場合は、細かいサンドペーパーで根気よく研磨する方法もありますが、粗い番手のサンドペーパーを使った方が研磨効率が上がります
粗い番手のサンドペーパーでまずは塗料を剥がし、木地がだいたい出てから改めて240番のサンドペーパーで表面を調えるてください
なお、60番→240番など、一気に番手を切り替えるよりは、60番→150番→240番など、中間の番手を挟んで徐々に研磨の目を細かくした方が、傷がより目立ちにくくなります
木を水拭きしたときに目立つ研磨傷は、塗装後も目立つ可能性があります
時折水拭きをして状態を確認しながら、木目に沿ってていねいに研磨してください
研磨が終わったら、研磨カスをきれいに取り除きます
2.ステインをよく攪拌する
色の成分が沈んでいるため、塗装前にしっかり混ぜておきます
混ぜ方が足りないと、本来とは違う色に仕上がってしまいます
ステインは塗り重ねることで色を濃くすることはできますが、色を薄く変化させることはできません
濃い色にしたくない場合は、あらかじめ適したうすめ液(水性は水道水、油性はペイントうすめ液)で薄めておいてください
また、ステインは“木目を生かす”塗料のため、木目が見えなくなるほど塗り重ねてしまうと顔料(色の成分)が表面に浮いてしまい、ニスの密着性が悪くなります
木目を隠したい場合は、ステインの使用は避けてください
3.塗装1回目
ステインには複数の塗り方があります
1つ目は“ハケで塗ってそのまま乾かす”方法です
色をしっかりつけたい場合に適していますが、乾燥時間が少し長くなります
木目に沿って塗装してください
2つ目は“ステインをウエス(綿布)に染み込ませてすり込む”方法です
淡い色に仕上げたい場合に適しています
なお、ウエスで拭き上げる塗装手順をワイピングと呼びます
ワイピングする場合は円を描くように拭き上げますが、最後に木目と同じ方向に拭き上げると仕上がりがきれいになります
3つ目は“ハケで塗ったあと、乾く前にウエスで拭き取る”方法です
ハケ塗りとワイピングを組み合わせることで、広い面積でも効率よく、色ムラを抑えて着色することができます
4.完全に乾かす
容器に記載されている乾燥時間は20℃の環境で乾かした場合の目安であり、塗りつけた量が多い場合や、湿度が高い場合などには表記以上に時間がかかることもあります
- ステインはほとんどの場合、塗った直後の濡れているときと、乾いているときで色が変わります。乾くと白ぼけた色合いに見えますが、ニスを上塗りすると(ニスの種類を問わず)濡れた状態の色で安定します
5.塗装2回目
- 1回の着色で好みに合った場合は、無理に2回塗る必要はありません
基本的な注意点は工程3と同じです
一部の色が沈んでいる場合がありますので、もう1度混ぜてから塗装してください
1回塗りでも着色されていますが、2回塗ることで色ムラを抑えることができます
塗った直後の色合いを見て、“もっと色を濃くしたい”場合は、乾燥後にもう1度塗装してください(好みの色になるまで繰り返し)
6.完全に乾かす
基本的な注意点は工程4と同じです
ニスを上塗りする前は、特に充分な乾燥時間を取ってください
乾燥が足りない状態でニスを塗ると、乾きにくくなることがあります