水溶性ニススプレーの塗り方

商品の特長

和信ペイントの“水溶性つやだしニススプレー”と“水溶性つや消しニススプレー”は、アルコールをベースにした、水彩えのぐの上に塗っても色が滲まない工作用のニスで、国内の学校などで幅広く利用されています

この商品を使うにあたって、いくつか注意点があります

 

1.実用的な作品や、水に触れる作品には使用できません

乾いた後も表面が柔らかく、水に弱い性質がありますので、屋内に飾る作品のみに塗装してください

 

2.アルコールに色が溶ける性質のものに上塗りすると、色が滲みます

近年は“油性ペン”として販売されている商品な中にも色が滲んだケースが確認されています
(低臭タイプの油性ペンに多く見られるようです)

また、上質なえのぐの中には色を鮮やかにする目的で染料(アルコールに溶け出しやすい色の成分)を加えている商品があり、特に赤系や紫系で、色の滲みが発生しやすくなっています

水彩えのぐ以外に上塗りする場合は、事前にいらない素材で試し塗りをして、問題なく上塗りできることを確認してから、実際の作品を塗装することをお勧めします

 

つや消しに仕上げる場合は下地ににつやだしを塗ると失敗しない

つや消しの塗料には“つや消し剤”と呼ばれる白い粉が入っており、素材に直接水溶性つや消しニスを塗ると、つや消し剤が素材の表面に取り残されてカビが生えたように見える現象が発生することがあります

“水溶性つやだしニス(ハケ塗り)”または“水溶性つやだしニススプレー”を1~2回塗って素材の吸い込みを止めておき、仕上げに“水溶性つや消しニススプレー”を塗装することをお勧めします

また、つや消し剤は容器の下部に沈んでいるので、充分に混ぜてから使用してください

用意しておくと便利な物

  1. 使用する塗料
    作品の使用目的や、好みに合った塗料を選んでください
     
  2. 研磨道具
    木の工作品に塗る場合は240番のサンドペーパーが必要です。空研ぎサンドペーパーを推奨します
    (素材が紙粘土や紙の場合は不要)
     
  3. ウエス
    いらなくなった綿布で代用できます。タオル地は埃が出やすいので避けてください
     
  4. マスキングテープ
    塗りたくない場所を保護するために使います
     
  5. 新聞紙やビニールシート
    周辺の汚れ防止に使います
     
  6. ゴーグル、マスク、軍手やビニール手袋など
    塗料の飛び散りによる汚れ防止に使います
     
  7. 汚れてもよい服装
    衣類に塗料がつくと、きれいに落とせません。特に小さなお子様が塗装する場合はご注意ください

塗装を避けた方がいい環境

  1. 雨天など湿度の高い日
    塗料が乾きにくくなったり、表面が白く濁ることがあります
     
  2. 極端に気温が高い日
    塗料の乾きが早すぎるため、失敗しやすくなります
     
  3. 極端に気温が低い日
    塗料が乾きにくくなります
     
  4. 強風
    塗装面にゴミがつきやすくなります

 水溶性つやだしニススプレー・水溶性つや消しニススプレーの塗装手順

1.下準備

塗る素材によって、内容が変わります

木材の場合は、240番の空研ぎサンドペーパーを使って、木目に沿って研磨します

研磨が終わったら、研磨カスをきれいに拭き取ります

紙粘土の場合は、紙粘土を充分に乾かします

また、水彩えのぐで着色している場合は、えのぐを充分に乾かしてください

紙の場合は、いくつか注意点があります

ニスを塗ると紙が濡れた状態に変化するため、裏面が透ける可能性があります

薄い紙の場合は濡れた状態になることで紙がよれたり、丸まってしまう可能性があります

また、紙をノリや接着剤で貼っている場合は、充分に乾かしてください

 

2.塗装環境を整える

スプレータイプは塗料が霧状に噴霧されるため、できるだけ屋外での塗装を推奨します

霧状の塗料が風で流されて思いがけないところに塗料が付着することがありますので、汚れてはならない場所をやや広めに養生してください

 

3.ニスをよく攪拌する

スプレータイプの塗料は、容器内で細い管を通って噴霧されているため、容器の底に一部の成分が沈んだまま噴霧すると、管の中に澱んでいた成分が一気に吸い込まれ、詰まりが生じる場合があります

容器を上下に30回以上、しっかりと振ってください

特に“水溶性つや消しニススプレー”は、内部に入っている攪拌用の球が動き出してから30回以上攪拌することをお勧めします

 

4.塗装1回目
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上図のように、作品よりも左右に外すように塗装します

作品の上で折り返すと、両端だけ塗布量が変わり、厚みの均一性が損なわれます

塗装する際は、作品から適度な距離(実際に使う商品の説明を参照)を保って塗装してください

距離が遠すぎると塗料が空気中で乾いてざらざらになり、近すぎると泡立ってしまいます
(下図は状態を分かりやすくするため、油性ニススプレー エボニーを塗装しています)

スプレー失敗例

 

5.スプレーのお手入れ

スプレーの詰まりを防ぐため、吹き終えたスプレーに簡単なお手入れをします

容器を上下逆さにしてボタンを2~3秒押してください

容器内の管から塗料を押し出すための工程で“逆さ吹き”と言います

逆さ吹きをしてから容器を正常な位置に戻し、噴出口についた塗料を拭き取ってから、フタをします

 

6.完全に乾かす

容器に記載されている乾燥時間は20℃の環境で乾かした場合の目安であり、塗りつけた量が多い場合や、湿度が高い場合などには表記以上に時間がかかることもあります

  • 水溶性つやだしニススプレーと水溶性つや消しニススプレーは、塗装途中の研磨工程はありません

 

7.塗装2回目

基本的な注意点は工程4と同じです

ほとんどの場合は素材の吸い込みが止まっているため、1回目よりも少ない量で塗ることができます

立面に塗っている場合は、塗りすぎると液だれが起こりやすくなるので注意してください

 

8.スプレーのお手入れ

スプレーの詰まりを防ぐため、吹き終えたスプレーに簡単なお手入れをします

お手入れに関する注意点は工程5と同じです

 

9.完全に乾かしてから、仕上がりを確認する

乾燥に関する注意点は工程6と同じです。乾いた後の仕上がりが好みに合っていれば、そのまま完成となります

塗り足りないと感じる場合(つやが足りない、塗り忘れがあったなど)は、工程7へ戻ります